【声明】

 

日本維新の会による国会を通じた教育に対する政治的介入に抗議する

2022年2月21日
子どもと教科書全国ネット21常任運営委員会

事務局長 鈴木敏夫

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「明治憲法 授業で歪曲か」との見出しの『産経新聞』(130日付け)をもとに、衆議院予算委員会(22日)で、日本維新の会(「維新の会」)山本剛正議員は、オンラインで1月末に開催された日本教職員組合の教育研究全国集会・社会科教育分科会での新潟の小学校教員によるリポートを取り上げ、攻撃しています。

山本議員は、記事の中で「リポートでは、「『五日市憲法の方が民主主義の考え方なのに、なぜ選ばなかったのか』という疑問が生じた」とする授業を受けた児童の様子を紹介。教員が一方的な解釈を示したことで、正しい歴史理解が図れなかった可能性が高い」としていることや、他のリポートでも「早いうちから意図的に子供たちに『護憲』を浸透させようと各地で授業を進めている構図」としていることを取り上げ、岸田文雄首相に次のような質問をしました。

 山本議員「総理はご自身の任期中に憲法改正の実現を目指しておられますが、このようなことをどう受けとめますか」「こういった間違った教育が、憲法を国民の手に取り戻す当たり前のことができないなどとの認識があるのか、この問題の真偽の調査と問題があれば、改善させるつもりがあるのか」。

末松信介文科大臣が、学習指導要領に基づき適正な指導が行われるよう新潟県教育委員会と連携して必要な対応をすると答え、岸田首相は、それを追認しました。

 憲法改正を推進する岸田首相を持ち上げる政治的意図のもとに、国会質問によって自主的な教育研究や学校現場の具体的な授業実践を取り上げ、「適正な指導」や「必要な対応」などを求めることは、教育内容に対する政治的介入であり、許されるものではありません。それは、政治権力により教育がゆがめられないよう求めた教育基本法第16条の「教育は、不当な支配に服することなく」との規定に抵触するものです。このように教師の教育上の自主的権限や専門性を侵害することは、憲法26条に保障された、子どもたちの教育への権利をも奪うものです。

 維新の会は、中学、高校の社会科系教科書攻撃の先頭に立ち、萩生田光一文科大臣(当時)とともに、2014年に改定された検定基準を強引に適用し、検定制度をも形骸化する「従軍慰安婦」や「強制連行」など教科書記述の変更を昨年教科書発行者に強要しました。しかし、その強引なやり方は、必ずしも貫徹しませんでした。その上で今また、このような教育への介入を行ったことに対して厳しく抗議するものです。

 政府・文科省が、憲法・教育基本法に違反する教育への不当な政治権力による介入に踏み込もうとしていることに強く抗議し、それを直ちに中止することを要求します。

 また、一部マスメディアが、特定の政治的立場と歴史認識にもとづき教育への不当な政治的介入を助長する報道を行うことに抗議するとともに、その是正を求めるものです。

 

                                               以上